◆ログホラ・ウェンズディ3

エリッサ

 皆様こんにちは、「ログホラ・ウェンズディ」担当のエリッサです。毎週水曜日に更新の「ログホラ・ウェンズディ」の進行とTwitterでの告知を受け持っております。初めての方も、すでにお馴染みの方もよろしくお願いします。

 「ログホラ・ウェンズデイ」は、『ログ・ホライズンTRPG』をより楽しんでいくためのさまざまな情報をお届けして、週末のログホラTRPGライフを盛り上げようというサポート企画です。毎回、データの紹介記事やお便りの紹介などさまざまなコーナーをお届けします。
皆様からのご意見もどんどん取り入れて、一緒に盛り上げていきたいと考えておりますので、応援をよろしくお願いします。

 GWが終わっていよいよ新生活も軌道に乗って来る時期ですが、ログホラ・ウェンズディも加速してまいります、これからもどんどんサポート記事を公開して行きますのでご期待ください。

 それでは今回は「デザイナーズレター」および「エリッサの相談窓口」をお送りします。早速参りましょう。

◆デザイナーズレター

まずは「デザイナーズレター」。タイトルどおり開発チームからの情報を発信するコーナーとなっております。今回のお題は「一般的な行為判定におけるディベロッパーとGMのハンドリング」についてです。それではご覧ください。

みなさまこんにちは。ログ・ホライズンTRPG(以下『LHZ』)開発チームです。
 今回のデザイナーズレターでは「一般的な行為判定におけるディベロッパーとGMのハンドリング」についてお話したいともいます。
 『LHZ』ではシナリオ側で想定しているPCの行動(判定とその結果のパッケージ)をシナリオ動作と呼んでいます。基本動作や特技、アイテムの効果欄と文法は同じ、『LHZ』ではおなじみですね。
 この文法は『LHZ』の全編にわたってみることができる統一記法です。
 「CH.2 グランドルール」には、射程や対象、タイミングについて書かれています。タグと実行条件は個別の量が多いのでリファレンスに分離されました。この二か所に書かれている文法は『LHZ』基本ルールの根底で動いている表記の原則でもあります。初めて目にするととっつきにくいと感じるかもしれませんが、この文法になれるとデータが読みやすくなると思いますよ。
 シナリオ動作もこの文法で、以下のような形でシナリオに記載されます。

《森を探索する》 分類:シナリオ動作
タイミング:メインプロセス
判定:基本(耐久or知覚/9)
効果:マーカーを1マス移動させてもよい。罠や障害を排除しつつ、森の中を進む。〔自身:狩人、辺境巡視、探検家〕この行動の判定に+2する。〔達成値13〕マーカーをさらに1マス移動させてもよい。〔達成値17〕マーカーをさらに1マス移動させてもよい。

《とても良く切れる包丁の実演》 分類:シナリオ動作
タイミング:メインプロセス
判定:基本(交渉or操作/9)
効果:売上げカウンターに+2する。客の注目を引くようなパフォーマンスとともにバナナや魚を切り刻み、売り物の包丁の価値をアピールする。〔自身:売り子、料理人、刀匠〕この行動の判定に+2する。〔クリティカル〕売上げカウンターにさらに+1する。

 シナリオ動作はシナリオに記載されています。つまり、ディべロッパーが作成するものになります。
『LHZ』開発チームは、このシナリオ動作に「〔自身:タグ(サブ職いくつか)〕この行動の判定に+2。」を盛り込むことを推奨します。
 この効果がどういうことかというと、「指定されたサブ職のPCはこの動作を行うときに+2分有利になる」ということになります。シナリオ動作はロールプレイの機会でもあるので、こうしてサブ職を後押しすることで、何気ない判定でも楽しいプレイのきっかけになるでしょう。
 サブ職の当面の一覧はルールブックのP73に掲載されています。ディベロッパーはひとつのシナリオ動作につき、3つほどサブ職を選んでボーナスを与えればいいでしょう。
 もちろんメイン職業や性別、人物タグなどでもボーナスを与えることは可能ですが、それらをPCが持っている可能性はサブ職とは異なるため、そちらは応用編という事になります。
 ディベロッパーにとってのシナリオ動作は、シナリオ中における判定の内容を、統一されたフォーマットで記述可能にする効果があります。記法に慣れればシンプルな記述で情感豊かな判定を書き出すことが可能になるでしょう。

仲間の食べている串焼きを奪い取る [特殊攻撃] 分類:シナリオ動作
タイミング:メジャー
判定:対決(命中/回避)
対象:単体 射程:至近
あなたは隣人の食べている串焼きを奪い取ることができる。
〔自身:食闘士、蒐集家、無法者〕この行動の判定に+2。
〔因果力1〕この行動は「対象:範囲(選択)」に変更される。
〔クリティカル〕あなたは奪った串焼きをすぐさま食べてしまってもよい。
〔ファンブル〕あなたは間違ってテーブルを倒してしまう。あなたの注文した料理は失われる。

 もちろん、全ての判定にあれこれと複雑な実行条件を記載していく必要はありません。むしろそれはシナリオの見通しを悪くしてしまうでしょう。シナリオやミッションを作成する際は、シナリオ動作に「サブ職を3つ選んで+2を与える実行条件を加える」ことを心がけていれば、十分な効果を得ることができます。

 ここまではディベロッパー向けのお話でした。さて、ここからは実際にセッションを行う際のお話となります。『LHZ』においてGMは、ディベロッパーの作成したシナリオを実際に運用する担当ということになります。ディベロッパーの作ったシナリオ動作を読み、PLに開示する役割ですね。
 セッションを実際にプレイしていると、プレイヤー側から「このサブ職でボーナスもらえないかな?」と提案されることもあるでしょう。あるいは別のクールなアイディアを思いついたプレイヤーがいたり、GMであるあなた自身が別の判定を用いたくなることもあるでしょう。
 こういったセッション中に起こる出来事についてさまざまな判断を下すのはGMに与えられた権利であり、セッションを進行して行くうえで欠かすことのできない任務でもあります。
 熟練のGMにとってこのようなアドリブは難しいことではないでしょうが、それでもゲームバランス上の手掛かりが必要ということもあるでしょう。GMであるあなたが駆け出しあるいは中堅であれば、心細い気持ちになるかもしれません。

 『LHZ』において、シナリオに記載されたシナリオ動作は、ディベロッパーからGMへのメッセージであり、サッカーで言うパスのようなものだと考えてください。
 「〔自身:タグ(サブ職いくつか)〕この行動の判定に+2。」というのはただのシナリオ記載情報ではなく、GMのセッション進行を助けるための確かなメッセージなのです。サブ職の指定は、それがどんな行動をあらわしているのか、どんな行動をイメージしているのかをGMに伝えるために存在します。
 GMは実際のセッションを運用する担当者として、シナリオ動作に記載されていないサブ職のPCにもボーナスを与えることができます。その時にはサブ職の指定が手掛かりになるでしょう。例えばシナリオ行動において〈大工〉のボーナスが与えられている場合、〈設計士〉を似たものだと考えて、そのPCへボーナスを与えるといった判断の手掛かりです。

 また、ボーナス数値はゲームバランスの観点から設定できる上限を示していると言えます。ディベロッパーが+2を記載するのであれば、GMは最大値+2までの範囲内でPCにボーナスを与えれば良いでしょう。+2そのままでもよいですし、「たしかに有効だけどそこまでではないかな」と思うなら+1で構いません。この範囲内で裁定を行っている限り、ディベロッパーの作ったシナリオは大丈夫だよ! そんなメッセージがこの表記には込められているのです。
 シナリオ動作は指示ではなく、セッションにおいて繰り広げられるGMとPLの会話を導く呼び水であり、エールでもあります。シナリオ動作の集合であるミッションもそれは全く変わりません。それどころか、まさにそのため――PLがさまざまなアイディアを出して活躍するため――にミッションは存在します。
 このデザイナーズレターは、開発チームから送るディベロッパー、GM双方への援護です。
 みなさんでぜひ豊かなセッションを楽しんでください!


◆エリッサの相談窓口

 皆さまこんばんは。ログホラ・ウェンズディ担当のエリッサです。
 このたびは「エリッサの相談窓口」へようこそいらっしゃいました。
 「エリッサの相談窓口」とは何か?それは皆さまの生活の悩みをエリッサがズバっと解決する窓口……ではありません。ログ・ホライズンTRPGに関する皆さまからの質問に対して、エリッサが皆さまと一緒にルールブックを読んだり、開発チームからのコメントを取ってきたりするコーナーです。その他に、いただいたご要望を開発チームと一緒に考えたりもします。また、企画の予告や計画もこちらで行っていきますよ。

 いただく質問は、ルールブックをひもとけば、その多くは解決可能なものです。解決しない場合はルールブックが悪いということですからね。そういった問題のある個所については、開発チームにエラッタを依頼することもあります。
 しかし、なんといっても最終的に正しいのはみなさんのGMであり、セッションの場においての合意であることをまず第一にご理解ください。それが楽しいセッションに一番必要なものですから。このコーナーでは、セッションをする皆さんとエリッサが一緒に問題に立ち向かうというモノです。それでは、早速相談窓口に行ってみましょう。

◆アイテム周辺の質問

▼【魔力】の算出方法は【魔力】=「装備一つの【魔力】+特技やアイテムの修正」とありますが、[補助装備]の[魔石]と[腕部]((副効果で【魔力】の付くもの)の場合どうなるのでしょう?

 シジルガードなどの装備は、[魔石]のようにアイテムそのものが【魔力】を持つのではなく、アイテムの効果として「あなたの【魔力】を+1する」のようにキャラクターの【魔力】を直接プラスする効果を持ちます。[魔石]や[杖](あるいは「素手」)によって得た【魔力】に、[腕部]装備による【魔力】を足して合計できます。


▼「素手」における【魔力】は「両手に何も持っておらずかつ[魔石]及び[杖]と書かれていない【魔力】を使う行動を使用する時」のみ参照する、ということでいいんでしょうか?

 【魔力】は装備によって決定されます(P52)。(もし手スロットがふたつとも空白なために)「素手」が装備されている場合でも、【魔力】算出のルール(P82)にしたがい装備アイテムからひとつを選ぶことになります。結果的にその選択が「素手」である可能性はあります。


▼現在ルールブックで公開されている[魔石]装備は補助装備タグがついているものだけですがこれを守護戦士などが使用しても問題ありませんか?

 問題ありません。[補助装備]タグを持つアイテムは全ての職業が装備可能です(P208)。


▼〈暗殺者〉が[投擲]武器を装備できないのは誤植ですか意図されたものですか? 僕の卓ではニンジャプレイを望む〈暗殺者〉が〈武闘家〉に四星手裏剣を装備されて見せびらかされて泣いています。

 これはゲームバランス上の問題で、意図されたものです。P265「演出(フレーバー)の変更」に従って、装備している弓などを投擲武器であるという設定にして演出することは可能です。また今後追加されるアイテムの中には、〈暗殺者〉が装備可能な[投擲]アイテムが含まれるかもしれません。


▼掲載されている、[水薬]のアイテムに幾つかタグ[非売品]がついていましたが、これは間違いないデータなのでしょうか?

 はい、記載通りです。これらは《ファーマシスト》などの特技で入手する(つまり生産職が生産する)ことを想定したデータとなります。


▼「サブ職業:〈メイド〉」を取ったキャラを作成しました。その際に《クッキング》を取得したのですが、この時[食料]アイテムで[非売品]タグがあるものは取得できないのでしょうか?

 [非売品]タグを持つアイテムは購入に制限があるアイテムですので、購入以外の手段による入手は可能です。《クッキング》などの特技は、[非売品]を入手するための手段のひとつとして用意されています。ただし《クッキング》の効果にあるように「一般の」アイテムに限ります。言い換えると[Mn]タグを持つ魔法のアイテムは、この手法では入手できません。


▼武器アイテムに【攻撃力】を増加するプレフィックスドアイテム効果、「気合の」および「気迫の」が付与されている場合、【攻撃力】は増加しますか? スタイルなどの何らかの特技によって【攻撃力】が二倍になるとき、それは増加済みの値を二倍にしますか?

 《フェンサー・スタイル》などの効果は「武器の【攻撃力】」を×2するというものです。従って、プレフィックスド効果の「気合の」のように武器そのものの攻撃力がプラスされる効果の場合は、その修正を含めた値を2倍にします。[腕部]装備のブレイサーのように「あなたの【攻撃力】を+1する」のような効果は、《フェンサー・スタイル》の効果によって2倍にはなりません。


◆ルールへの質問

▼[追撃]発動時に[弱点]があった場合追加ダメージは発動するのでしょうか? また、その反対(弱点ダメージで追撃発生)は出来るのでしょうか?

 いずれも発生しません。[弱点](P524)、[追撃](P528)ともに起動条件は「防御判定に失敗した時」となるからです。


▼[追撃]は[防御判定]が必要でダメージの入らない行動をうけた場合起動するのでしょうか?

 質問の意図が不明瞭ですが、[追撃]発生の条件は「防御判定]の失敗」が必要ですので起動します。また、[追撃]発生の時点(攻撃判定ステップ(P315))の時点では、その攻撃が最終的に攻撃を受けたキャラクターにどのような影響を及ぼすかは判明していません。それらはダメージ決定ステップ(P315)、ダメージ適用ステップ(P316)で実行されます。
 また、攻撃とは「キャラクターにダメージを与える行動(P311)」であり、ダメージとは「キャラクターに加えられる危害の総称(P288)」です。


▼[白兵攻撃]の行動において、「射程:武器」とある行動があります。こういった行動で、装備武器:[弓]ならばどうなるのですか?

 [弓]は[白兵攻撃]を行うことができる武器ではありません(P511)。
 (開発チーム)この件は後日エラッタでも誤解を招かない表現に訂正される予定です。


▼仲間が敵からの防御判定に失敗して、ダメージ決定ステップでダメージとヘイトダメージが算出されました。その後のダメージ適用ステップで戦士職が《カバーリング》や《ロングレンジカバー》を使用してダメージを肩代わりしました。
この場合「ヘイトの減少」は「仲間」か「戦士職」のどちらに適用されるのでしょうか?

 「仲間」の方に適用されます。ヘイトの減少は「攻撃判定ステップ(P315)」において、[防御判定]に失敗したキャラクター(この場合は「仲間」の方)に発生するからです。「ヘイトの減少(P319)」も併せて参照してみてください。


▼仲間が[ヘイトアンダー]だった場合、ダメージ決定ステップではヘイトダメージ0なので《かばう》などでダメージ肩代わりした際の戦士職が喰らうヘイトダメージは0になる、という認識でいいでしょうか?

 はい、その通りです。キャラクターに与えられるダメージは、ダメージ決定ステップの時点で確定しています。《カバーリング》などの効果は、ダメージ適用ステップにおいて、対象(この場合は「仲間」)が受ける予定のダメージ(=ダメージ決定ステップの時点で確定したダメージ)を変わりに受けるという効果なので、対象がヘイトダメージを受けないのであれば、肩代わりしてもヘイトダメージを受けません。「攻撃(P311)」の手順と記述通りに処理していけば、そのようになります。


▼《カバーリング》などをした際のヘイト減少についての質問です。[防御判定]に失敗して攻撃が命中したらヘイトが1減少する、とP305にあります。《カバーリング》を行った場合、このヘイト減少は発生しますか? また、その場合どちらのPCに発生しますか? 《カバーリング》を行ったPCですか? [防御判定]に失敗したPCですか?

 二つ前の質問と同じ内容ですね。[防御判定]に失敗して攻撃が命中したらヘイトが1減少するという記述そのままに処理を行います。《カバーリング》や《かばう》とは関係なく、[防御判定]に失敗したPCのヘイトが減少します。


▼「かばう」等で味方へのダメージをかわりに受ける場合、ヘイトダメージや[追撃][弱点]による直接ダメージもかわりに受けるのでしょうか?
また、「かばう」等でヘイトダメージ、追撃ダメージ、弱点ダメージをかわりに受けることが出来る場合、[防御判定]に失敗したPC・Aと、PC・Aをかばってダメージをかわりに受けたPC・Bがいるときに、どちらを基準にこれらは計算されますか?

 順に回答しますと、まずダメージとは「キャラクターに加えられる危害の総称(P288)」です。このダメージにはヘイトダメージや[追撃][弱点]によって発生する直接ダメージも含まれます。
 続いて、《かばう》などはダメージ適用ステップにおいて、対象(この場合は「仲間」)が受ける予定のダメージ(=ダメージ決定ステップの時点で確定したダメージ)を変わりに受けるという効果ですので、[追撃]や[弱点]はPCAを基準に適用します。


▼《ハードボディ》はヘイトダメージなどの直接ダメージを軽減できますか?

 できません。ヘイトダメージや[弱点][追撃]による直接ダメージは、攻撃によって与えられるHPダメージとは別に発生する追加ダメージであるためです。具体的な手順についてはHPダメージの適用(p317)を参照して下さい。また、そもそも直接ダメージに対しては「ダメージ適用直前/直後」の行動を行うことができません(p289)。


▼戦闘開始時にヘイトが0となるということはブリーフィングシーンで[準備]タグを持つ特技を使用した場合、その特技のヘイトは無視してしまってよいのでしょうか?

 ブリーフィングシーンもシーンの一種(P258)ですので、厳密にはヘイトは発生します。また、なんらかの特殊なイベントやシナリオに影響を与える可能性は存在し得ます。ただし、シーンである以上、シーン終了時にヘイトはリセットを受けますし、戦闘開始時にもまたリセットを受けます。通常のセッションにおいては、無視して構わないでしょう。


▼プレイヤーがロールとして「常にカーバンクル(他アルラウネ等[従者召喚]タグので呼び出される従者)を連れている」としたい場合、どうしたらよいでしょうか?

 とても良いプレイヤーさんだと思います。エリッサはそのセッションのGMではないので裁定を代行は出来ませんが、許可してあげるのがよいと思いますよ。楽しいセッションを!


▼エネミーの知性の有無を無視してヘイトトップを狙わなければならないのですか?

 P383「エネミーの運用」にあるとおり、「エネミーがヘイトトップのPCを攻撃することがもっとも有効となるようにデザインされている」ゆえに「GMがあやつるすべてのエネミーは、可能な限りヘイトトップのPCを狙って攻撃すればよい」となっています。
 もちろんヘイトアンダーのPCを攻撃する自由をエネミーもGMも有します。が、知性の高いモンスターはその知性で有効だと判断するゆえに、低いモンスターは本能で、ヘイトトップのPCを攻撃する、というのが指針です。
 「エネミーがヘイトトップのPCを攻撃することがもっとも有効となるようにデザインされている。」のはヘイトルールに限らず、『LHZ』のデザイン方針そのものでもあります。ディベロッパーとしてオリジナルなエネミーをデザインする場合、この基本方針に反するデータ(たとえば、ヘイトアンダーの[防御ボーナス]を塗りつぶすほどの[命中判定]をもつなど)を作成するのは避けた方がよいでしょう。
 モンスターの知性に関していえば、それがゲームとして面白さを持つほどであれば、モンスターのデータによって表現されるというのが『LHZ』のデザイン方針でもあります。たとえば以下のような特技がそれに当たります。

《戦場の愚者》_常時_このエネミーは「セットアッププロセス」で以下の効果を受ける。〔1D:1~4〕このエネミーはこのラウンド、可能な限り《剣の一撃》をおこなう。〔1D:5〕このエネミーは怒って地面を叩く。自身に[放心][硬直]を与える。〔1D:6〕このエネミーは不思議そうに周囲を見回す。即座に[行動済み]となる。

 もちろんセッションにおける最終的な決定はGMが行うべきですが、総じてルールブックの指針に従えば問題ないでしょう。また、公式を含むディベロッパーは「エネミーがヘイトトップの相手を狙うの利得が高い」デザインを維持してゆきます。


◆特技周辺の質問

▼《クローシャー・スタイル》のSR2の効果、[杖]の装備制限の撤廃についてですが、これはSR1における杖のランク制限の解除なのですか? CRによる装備の制限は適用されるということでよいでしょうか?

 「この特技による」制限、すなわち《クローシャー・スタイル》のSR1の制限の撤廃であって、アイテムそのもののランク制限(P206)を無視できるわけではありません。


▼[スタイル]の条件を満たす場合、2種類のスタイルが共存(効果を得る)することは可能でしょうか?

 [スタイル]特技は一度に1つの効果しか得ることができません(P505)。


▼〈召喚術師〉の特技運用でセットアップに《従者召喚:サラマンダー》 (確定効果で5点直接ダメージ)→イニシアチブ:《コールサーヴァント》使用、《従者召喚:ウンディーネ》に交代(この確定効果で5点直接ダメージ)→次ラウンドセットアップで《従者召喚:サラマンダー》使用(以下同じ事を毎ターン)というのは可能なのですか?

 可能です。


▼《従者召喚:サラマンダー 》などの確定効果で[追撃]は発動するのでしょうか?

 [追撃]の起動条件は[防御判定]の失敗です。《従者召喚:サラマンダー》の確定効果の場合であれば、[防御判定]は発生しないので、当然[追撃]も起動しません。
 なお、[防御判定]を発生しない効果であっても《パルスブリット》(P183)のように特記事項として[追撃]を起動できる行動もあります。


▼《従者召喚:サラマンダー》や《従者召喚:ウンディーネ》の効果によって[火炎]や[冷気]のタグがつきますが、その状態で《基本武器攻撃》や《基本魔法攻撃》を行った場合、その攻撃は[火炎]や[冷気]の属性を持った攻撃になるのでしょうか? またその他の武器・魔法攻撃を行った際の属性はどうなりますか?

 「タグの継承(P40)」のルールによって、キャラクターが持つ[火炎]や[冷気]などのタグは、攻撃にも継承されます。従って、《従者召喚:サラマンダー》の効果中であれば、あらゆる攻撃が[火炎]タグを持つ攻撃となる可能性があります。「可能性」というのは、キャラクターやダメージにおいて属性ダメージタグがふたつ以上選択可能になる可能性があるからです。その場合は「タグの継承」ルールに従って1つを選択することになるでしょう。


▼[従者召喚]の特技で、〔確定効果〕である5点の直接ダメージはダイスを振らないため、ダメージロールではないと考えてよろしいですか?

 ダイスを振らないので、ダメージロールではありません(P315)。


▼[従者召喚]の特技その確定効果が適用されるタイミングはセットアップに使用した瞬間の最初の1回のみでいいですか? ブリーフィングシーンで使用していた場合は適用されないのですか?

 セットアップとは限りませんが、その行動の効果が発生するのは基本的に、使用時です。確定効果はその行動を使用するたびに適用されることになりますね。毎ラウンドのセットアッププロセスごとに《従者召喚:サラマンダー》を使用すれば、そのたびに5点の直接ダメージを与えることができます。
 ブリーフィングシーンは戦闘シーンのひとつ前のシーンであり、そこでは次の戦闘シーンに登場するエネミーは登場していないでしょう。当然、対象(もしくは二次対象)に指定することが出来ないために、効果は発生しません。


▼「[支援]タグを持つ特技の効果はシーン終了時まで持続し、2つまで維持できる」とありますが、これは「2種類までなら何人にでも[支援]タグの特技を維持できる」という意味でしょうか? そうではなく「合計で2つ(つまり1人に2つまでか、2人に1つずつまで)の[支援]タグの特技を維持できる」のでしょうか?

 「合計で2つ(つまり1人に2つまでか、2人に1つずつまで)の[支援]タグの特技を維持できる」がその意味です。《キーンエッジ》と《アストラルチャフ》を1回ずつ使用しても2つですし、《エリクシール》を2回使用しても2つです。


▼[慢心]など「ダメージを受けること」によって解除される状態になった仲間を殴ることで、その状態の解除を狙う、というのはゆるされますか?またそのときヘイトの増減はおこりますか?

 1)[慢心](P529)の解除条件は「【HP】が1点でも減少した時」なので、その原因が何かであるか問われません。仲間を殴って解除することは可能です。
 2)ヘイトの減少は、エネミーがPCを攻撃した時のみ発生します(P305、315、319)。PC同士で戦う、敵対シナリオである場合、ディベロッパーやGMはこれらのヘイト低下が起こりうると裁定/運営しても良いですが、それは抗争する陣営に所属するPC同士であるような、専用のシナリオであるべきでしょう。


▼《フォアストル・スタイル》は、[杖]、もしくは[魔石]の【魔力】+修正と効果は重複するのでしょうか?

 《フォアストル・スタイル》の効果は、キャラクターの【魔力】を直接プラスするものなので、装備している【魔力】を持つアイテムと累積します。ただし、《フォアストル・スタイル》の条件が[手スロット]が空いていることですから、[杖]装備とは両立できないでしょう。


▼《ヴィジョナリー》の効果で[魔法]プロップを「探知難易度:自動」として発見できるが、その状態で《リベレーション》を使った場合、本来なら[隠蔽]されている[魔法]プロップを「探知難易度:自動」であるとして《リベレーション》の効果で事前に知ることができるのでしょうか?

 可能です。ハーフアルヴの《トゥームレイダー》など類似の効果を持つ行動でも有効な組み合わせでしょう。CR3程度から、戦場のワナ(プロップ)も一筋縄ではいかないものが増えてきます。[偵察]行動はその重要性を増していくでしょうね。


▼《ウェポンマスタリー》の効果は「《ウェポンマスタリー》で選択した武器のタグと[武器攻撃]のタグを設定されている行動にしか適用されない」、「.《ウェポンマスタリー》で選択したタグを設定されている武器を装備した状態で行う、[武器攻撃]タグを設定されている行動に適用される」のどちらですか?

 「タグの継承(P40)」のルールによって、キャラクターが装備しているアイテムのタグは攻撃にも継承されます。従って《ウェポンマスタリー:刀》であれば、[刀]タグを持つアイテムを装備した状態で行なう[武器攻撃]のダメージロールすべてに適用されます。


▼[援護歌]タグの解説に「一つまで同時に維持できる」とあるのですが、これは現在使っている[援護歌]の他に、さらにもう一つの[援護歌]を維持できるという事なのでしょうか?

 現在使用しているもの1つだけです。


▼《ラフティングタウント》は「同じメインプロセス中に複数回使用できる」とありますが、それは対象を複数人に出来るという意味ですか?

 P26「同名行動の複数回使用の禁止」のルールよって、通常は1回のメインプロセス中に同じ特技を複数回使用することができません。《マンティスアクション》などの効果で、2回以上のマイナーアクションを行なえる場合にも、同一ラウンドでは《ラフティングタウント》を1回しか使用できないことになります。
 「同じメインプロセス中に複数回使用できる」とは《ラフティングタウント》にはその制限が適用されないという意味です。とうぜん、複数回使用する《ラフティングタウント》は、その1回1回が独立した行動なので、対象を重ねても分けても問題ありません。


▼[援護歌]を使用した状態で[戦闘不能]になってしまいました。この場合、使用中だった[援護歌]の効果は、継続するのでしょうか、解除されるのでしょうか?

 継続されます。戦闘不能時の処理(P525)を参照ください。


▼〈吟遊詩人〉が使う[援護歌]タグのついた特技について質問があります。効果対象が「広範囲20(選択)」となっているんですが、これは誤植ではありませんか? 大きすぎますよね。どういう判断をすればいいでしょうか?

 誤植ではありません。「広範囲20」というのは、「特別な事情がないシーンにおいて全域を範囲内とする」という意味合いのデザインです。


▼《グリズリースラム》のような相手を[強制移動]させる特技と《サイレントパーム》のコンボはできるのでしょうか?

 強制的な移動とは、「移動を行なうキャラクターと、移動先を選択/決定するキャラクターが異なる移動」であり、その点以外は通常の移動のルールに従います(P311)。エネミー自身の意志による移動であるか他者による強制的な移動であるかは、《サイレントパーム》の使用条件には無関係であるため、問題なく組み合わせることが出来ます。


▼「対象:範囲」などの攻撃で《キャッスル・オブ・ストーン》を使用した〈守護戦士〉を含む複数のキャラクターを攻撃した場合、《キャッスル・オブ・ストーン》の【因果力】の回復効果は発動しますか?

 発動します。


▼《インスタントフォーカス》の効果の内、「[追加判定]をするなら、常に成功する」とありますが、〈暗殺者〉特技《エクスターミネイション》の「[追加判定]:(中略)対象は[死亡]する」は条件(【HP】条件や[モブ])を無視して「常に成功する」のでしょうか。もしくは、「判定」を無視できるだけで条件は無視できないのでしょうか。

 《インスタントフォーカス》の効果の該当箇所は〔追加判定〕に成功することです。〔追加判定〕に成功したことで発生する効果には影響を与えません。詳しくは〔追加判定〕(P520)をご覧下さい。


▼《ブレイドシンガー・スタイル》は現在SRを2に上げても実質的に利益がありません。これは問題ないのでしょうか?

 (開発チーム)はい、正しいデータです。後々、高SRの《ブレイドシンガー・スタイル》が利益になるような特技も追加される予定です。しばらくの間は実力を秘め隠したミステリアスな吟遊詩人としてお過ごしください。


▼《ラミネーションシンタックス》で同じキャラクターを重複して対象にとることは可能ですか?

 《ラミネーションシンタックス》で変更した場合に限らず、「対象:n体」において対象を指定する時に、同じキャラクターを複数回選ぶことはできません。


▼狐尾族の特技《変わり身の一尾》は、特技枠を交換するのでしょうか? それとも追加で取れるのでしょうか?

 《変わり身の一尾》の効果で指定されているように、追加で特技を1つ取得します。《変わり身の一尾》を失うわけではないので、《変わり身の一尾》を再度取得することは出来ません。


▼《三尾の妖力》を取得した状態で《スペルマキシマイズ》を使用し、コストとして【因果力】1を消費した場合、消費【因果力】は0になりますか?

▼種族特技《三尾の妖力》は〈暗殺者〉の《アサシネイト》などのコストとして【因果力】を2以上消費することができる特技の時には、どのように働きますか?

▼《三尾の妖力》は実行条件で〔因果力1〕を消費する時には適用されないという認識で合っているでしょうか?

 《三尾の妖力》の効果は「特技のコストとして【因果力】1点を消費する時に使用する。あなたは【因果力】を消費せずに効果を起動できる。」ですので、(1)《スペルマキシマイズ》や《アサシネイト》を使用するとき消費する【因果力】として1を宣言する。(2)その状態で《三尾の妖力》を使用を宣言する(当然《三尾の妖力》の使用回数も消費する)。であれば、消費される【因果力】は0になります。
 《スペルマキシマイズ》や《アサシネイト》を使用するとき消費する【因果力】を1以外(つまり2以上)で宣言すれば、《三尾の妖力》を使用することはできません。
 実行条件〔因果力1〕に記載されている【因果力】の消費も行動のコストです(p28、p518)。したがって、〔因果力1〕によって発生する【因果力】の消費は《三尾の妖力》の「特技のコストとして【因果力】1点を消費する時」の条件を満たし、《三尾の妖力》の使用は可能です。
 実行条件〔因果力2〕の場合、そのうち1点だけを《三尾の妖力》で肩代わりするということは出来ません。


◆要望など

▼ネームドアイテムが見当たりません。どこに記載されていますか?

 4月30日更新のログホラ・ウェンズディにて公開されました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 ログホラ・ウェンズデイ.2「ネームドアイテム」


▼サイト上で、サンプルキャラクターの記入済みキャラクターシートをPDFで公開して欲しいです。

 記入済みのキャラクターシートについては近日公開予定です。もうしばらくおまちくださいね。


▼戦闘が手強すぎる。これでは初心者が可愛そうです。マイルドにしてください。

 サンプルシナリオには難易度が設定されています。これらはシナリオの戦闘難易度を大幅に変更します。難易度の選択についてはP366をご覧下さい。特に、セッションに初心者、ログホラTRPG初体験の人が混ざっているのならば、難易度を下げたセッションを行うべきでしょう。
PCに配布される【因果力】はその戦闘能力に関係します。ヒール(P114)や禊ぎの障壁(P132)、アサシネイト(P144)やオープニングギャンビット(P150)は因果力を使用することで劇的に効果を増したり再利用可能になったりします。エリッサも姫のお世話でいつも思ってますが【因果力】は惜しまず使うべきです。姫がドジした判定を後からフォローするなら判定の振り直しもして欲しいです。エリッサからのお願いです。



当コーナーを含めて、ログ・ホライズンTRPGでは様々な質問やご意見、ご感想を以下のフォームから受け付けています。ルールに関する質問やプレイの感想、データやルールの希望などの貴重なご意見をおきかせください。
https://docs.google.com/forms/d/1D3L0bJmk5aNfHOMMCS_AaKO0XiM0QRwZXSzhYtu9Jg8/viewform


◆NextWeek

 さてそれでは今週の「ログホラ・ウェンズディ」はこれにて終了です。
 来週は「イントゥ・ザ・セルデシア:変人窟へ行こう」を掲載予定です。アキバの最深部に居を構える、個性豊かな数々のユニオンの設定およびそのデータを紹介しますのでご期待ください。

 4月とは打って変わって強い日差しを感じ、青々とした木々の葉がたくましく伸びる様が目に入ります。「ログホラ・ウェンズディ」も負けない勢いで更新を続けてまいりますのでよろしくお願いします。

 担当のエリッサでした。

© Touno Mamare 2014