ログ・ホライズンに登場するたくさんの人物にいろいろなキーワード。
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気になるキーワードのピックアップや、ちょっとした特集なども企画進行中です。
新しい試みなので少々ばたばたするかもしれませんが、皆様と一緒に盛り上げていきたいと
考えておりますので、応援をよろしくお願いします!

カナミ一行の一日 《かなみいっこうのいちにち》
06:00 起床
 カナミが鍋をお玉でたたくけたたましい音で目覚める。
 日長の短い中央アジアの空はまだ夜明け前だ。NYでは休日なら日が高くなるまで寝ていたもんだが旅の空ではそうも行かないので毛布から這い出す。エリアスや春翠はすでに起きていたようだ。
 コッペリアが湯でぬらしたタオルをくれた。優しみを感じながら顔をぬぐう。彼女は昨夜も睡眠をとらずに見張りをしてくれていたようだ、偉すぎる……。

06:40
 朝日を見ながら朝食(今日は羊肉のソーセージに目玉焼き、黒麦パンだった)を済ませ、歩き出す。この季節は日の出ている時間が10時間前後しかないので、明るいうちにとにかく歩くしかない。シャンマイから裾野に広がる丘陵に朝日が差してオレンジと深藍色のだんだら模様が描かれている。カフェもドーナツのステーションもないクソ広いだけの土地だがこの時間の景色は何度見ても飽きない。

08:00
 数キロと行かずにモンスターの襲撃を受ける。小型のドラゴンが数匹(この辺ではこんなのがうようよいる!)。なんてことない相手なのだが、カナミが敵の中に突っ込むのはいつものこととして、エリアスまで一緒に突撃しちまうのはどうなんだ? 

08:15
 「飽きたー!!」カナミが騒ぎ出す。飽きようが飽きまいが歩く以外にやることなんてないだろ……と思ったらあの女、「次の休憩地点まで競争ね! 最下位は……罰ゲーム!! だーっしゅ!!」とか叫んで走って行っちまった。マイガッ! そもそもゴールも設定しないでどこまで走る気だよ……。
 付き合ってられん。みんなもそうだろ、と後ろを振り向いたが、すでにコッペリアとエリアスは走り出していた。コッペリアはまあわかる、カナミがマスターだもんな、うん。でもエリアス、お前はそんなキャラじゃないだろ……。
 なあ、春翠。あんたはこんなノリには付き合わないよな? 「その、カナミさんの言い出す罰ゲームはちょっと想像がつかないので……」
 申し訳なさそうな顔をしながらもデカい狼を呼び出して走っていった。……マジかよ。ギーク走らせるとスタートアップで罰が当たるぞ。

09:30
 なんでまっすぐ走れないんだよ。
 なんで左右に飛び跳ねて道草する。
 子供か。

09:40
 「Bボタン押すと足速くなるよね!!」 こっちに同意を求めるな。

09:50
 おま、ふざけんな! あの暴走バカ女、エンカウントしたモンスタートレインしながらまだ走ってやがる!? なんでヘラジカが中国にいるんだよ! あれってたしかノルウェーとかが飼ってるんじゃないのか!?
 もしかして最後尾の俺が全部処理する流れか?

10:10
 もうMPが半分しかない。

10:22
 もうMPがない。

11:20
 〈水薬〉切れた。

12:00
 命からがら(結局途中でエリアスやコッペリアたちも合流することになった)たどり着いたのは小さなオアシスだった。
 「おそかったねー! なんかきれいなオアシスだし、ここをゴール地とする!」 カナミが泉に浮かんでのんきに手を振っている。こっちはお前が引っ張ってたモンスターの処理しながらマラソンしてたんだぞ。なんでおまえはもう水着なんだ? 下に着てたんじゃあるまいな?

12:20 ランチ。ランチ?
 オアシスで水を補給し、そのまま昼の大休憩をとることにした。小さな水溜り程度の場所だが、ゲームシステム的には魚が生息可能だったようだ。カナミが手ごろな岩に《タイガーエコーフィスト》をキメると、衝撃波で何匹も浮かび上がってきた。正直保存食には飽きがきていたので、ありがたく焼き魚をいただく。

14:00
 十分休憩を取ったので行軍を再開する。カナミの突発マラソン大会で結構な距離を稼いだ気もするがそれはそれ、日のあるうちは少しでも前進しておきたい。 〈草原の都〉はまだ地平の彼方なんだからな。はやいところ文明の香りがする場所に帰り着きたいぜ。

15:30
「あっるっこー! あっるっこー! ふふんふ、ふふふーん~♪」 唐突にカナミが歌いだした。カナミが唐突に歌いだすのはいつものことだが、今回のはメロディーに聴き覚えがある。たしかニホンのアニメだったよな。続きはどんな歌詞なんだ? 
「……ふんふんふ、ふふんふーん ふんふふんふふんふんふんーん♪」 カナミの記憶力に期待なんかしてなかったさ。

16:20
 そろそろ野営できる場所を探さないとならない。せめて街道沿いの旅なら一定距離ごとに隊商とかが使う野営場所があるものなんだが、広い草原のど真ん中を突っ切っている今は気配すら存在しない。
「だって用意された道沿いに行くより、目標に向かってまーっすぐ向かったほうが早いじゃん?」そうは言うがな、カザフからこっち、この旅でお前がまっすぐ東に向かったことは一度もなかっただろ……。女性は地図を読む能力が乏しいと聞いたことがあるが、流石にそれでも方角という概念くらいはあるはずだ。

17:00
 棘だらけの潅木の茂みを見つけたので、ここにキャンプ設営をすることにする。俺とエリアスが天幕を立てている間にカナミとコッペリアが火を起こしていた。春翠は周囲の偵察がてら、小動物を狩ってきてくれるそうだ。野外活動の得意な〈辺境巡視〉がいてくれて非常に助かる。
 短い夕暮れのあとは、あっという間に日が落ちて闇が辺りを包む。明かりは焚き火と星明りだけ。NYじゃ想像もできない風景だ。アウトドアも悪くないな。

18:20
 アウトドア大嫌いだ。
 偵察から帰ってきた春翠が、ここから数キロの場所に遊牧民のキャンプがあり、さらにそれを襲える位置に〈醜豚鬼の狼騎兵〉の群れがいる、という情報を持ち帰ってきたのだ。
「ありゃーそりゃ行くっきゃないっしょ。大乱入何とかブラザーズ!」
「〈大地人〉を守るのは私の使命。見過ごすことなどできようか」
「援護はお任セください」
「私はこれも仕事の一環ですし、――それに何か情報や物資の提供を受けられるかもしれません」
 まあ、そうなるよなあ……。
「なになに、ケロナルドは反対? お留守BANGしちゃう」
 賢い俺はもう学んでいる。ここで留守番をしても騒動はきっちり請求書を送ってくるってな。だったら参加した方がいいだろう。それこそヒーローの生き様だ。……はぁ。ピザくいてえ。

21:00 夕餉(夜遅い)
 俺たち5人が駆けつけたのは、まさに襲撃の直前、というタイミングだった。レベルはなんてことのない相手だったが、数だけは多かった(あの手の亜人間はどこにでもポップしてくるからタチが悪い)せいで、倒せるだけ倒して、残りを追い散らすころにはこんな時間になってしまった。
 幸いなことに遊牧民の人らがお礼に、とテントをひとつ貸してくれるらしい。夕食の材料も分けてくれそうで、早速カナミはかまど前に陣取ってあちらの奥様方と談笑しながら料理を始めていた(エリアスはそのそばで芋の皮をむかされている)。
 コッペリアは〈施療神官〉であることがわかると、赤ん坊や生まれたばかりの家畜に祝福をしてほしいとせがまれていた。そういえば山の上の村ではスイカの種にお祈りをしていたな……。

23:00 就寝
 たらふく食った夕飯で腹が重い。ついでに言うとまぶたも重い。なんだか爺さま連中に気に入られたのかやたらと馬乳酒(だっけ?)をすすめられた。変わった味だがうまかったな。
「解毒魔法の投射を要請しますか?」
 ああいや、いいんだコッペリア。たまにはこうして酔っ払うのも悪くない。まったく、今日も一日振り回されっぱなしだったな……まあ、最後にこんな気分で眠れるなら、悪くはない。
「おやすみなさいまセ、サー・レオナルド」
おやすみ、コッペリア。