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鈴香鳳 栄光の足跡 《リン=シャンフェン だいぴんちめいかん》
〈白翼姫〉の二つ名を持つ古来種の女騎士、鈴香鳳。地球世界における中国地域を守護する〈翡翠騎士団〉所属でありながら、ヤマトサーバーでもさまざまなクエスト、イベントに登場するため、プレイヤー間での知名度は非常に高い彼女だが、その一方でその登場シーンや活躍シーンには「裏切りにより捕らわれてしまう」「仲間や大地人を守るために窮地に陥ってしまう」「強大な呪いやマジックアイテムによって弱体化してしまう」といったシチュエーションがつきものであった。もちろんこれは後にプレイヤーが活躍するためのシナリオ的な都合が背景にはあるのだが、見目麗しい女騎士がクエストに登場するたびにピンチに陥っているさまはもはや様式美となっており、プレイヤーたちにも「クッ殺姫」「鈴ちゃんさん」などと威厳のかけらもないあだ名が定着している。
あるプレイヤーコミュニティでは、「鈴香鳳 栄光の足跡」と題してプレイヤーに彼女の登場シーン人気投票を行ったが、集まった結果は見事に(予想通りとも言えるが)「鈴香鳳大ピンチ集」ともいえるものとなった。
以下は得票数の多かった中からいくつかをピックアップしたものである。

●踊り子の危機
大都で催される貴族の宴に父の仇が現れるという情報を得た鈴香鳳は、踊り子の変装をして潜入した。見事な舞を披露し、主催である貴族にも気に入られるが、強力な睡眠薬を盛られて捕らえられてしまう(情報が漏れていたのだ!)
「くっ、こんな薬に屈するとは……不覚!」
中国サーバーで展開する連続クエストの導入部であり、踊り子姿の鈴香鳳が華麗な舞を披露するシーンでは専用のムービーが流れるという力の入った演出のため、他国サーバーから遠征してムービーを鑑賞に来るプレイヤーも多数いた。
ただ、本来はこのあとプレイヤーによって助けられた香鳳より、貴族の調査を依頼されるという流れなのだが、ムービーだけ見て満足してしまった他国プレイヤーたちがクエストを放置して帰国してしまう姿もよく見られたようだ。

●猪頭魔王の晩餐
中国サーバーからヤマトへと逃げ出した大妖怪〈猪頭魔王パァザイ〉を追ってナインテイルへと渡ってきた鈴香鳳だったが、パァザイは現地の〈醜豚鬼〉の一派を糾合し、大規模な山城で彼女を待ち受けていた。城の奥深くまで進撃しパァザイを討伐一歩手前まで追い詰めたものの、地元からさらわれて来た〈大地人〉を人質にとられてしまい、彼らの解放と引き換えに囚われの身となってしまう。
「私の身はどうなってもよい、だからその者たちを開放しろ! ……開放、してください……」
プレイヤーたちは解放された〈大地人〉に依頼され、鈴香鳳救出のために深山の要塞に突入する。一方、囚われの身となった香鳳はパァザイが己の夕食にするために、手間隙かけて下ごしらえをされる。おろしニンニクを塗りたくられ、刻んだニラやネギをまぶしつけられ、さらに特性の魔物ダレにつけこまれたり、徐々に煮え立つ湯につけられたり……しかもその様子が要塞内を進むプレイヤーたちにも実況されたため、操作をミスするプレイヤーが後を絶たなかったという。
なお救出劇の後日談で鈴香鳳はユフインの温泉に三日三晩篭っていたらしいが、臭いはなかなか落ちなかったとのことだ。

●ブラック☆まみーずの暗躍
街道で助けを求める行商人のキャラバンに出会った鈴香鳳は、持ち前の正義感から追ってきたモンスターを撃退し、キャラバンを救う。だが、彼らは実は人間に化けた黒狸族の一団〈ブラック☆まみーず〉だったのだ。彼らの口車に乗せられた香鳳は、あろうことか愛馬である天馬〈小白鶴〉とヘビーウォーハンマー〈天球の欠片〉を含めた一切合財を「たぬきポーカー」で巻き上げられてしまう! そのうえ頭には呪いのタヌ耳カチューシャを装備させられ、語尾に「まみ」と発音してしまうようになっていた。
「あのような口車に乗せられて……、この鈴香鳳一生の不覚まみ!」
踏んだりけったり状態の彼女と出会ったプレイヤーは、ヨコハマの街に逃げ込んだ〈ブラック☆まみーず〉と対峙し、さまざまなミニゲームをクリアすることでを追いかけて香鳳の持ち物を取り戻す、というコミカルなクエストなのだが、ミニゲームに敗北すると香鳳が装備品(たぬき尻尾や付け鼻)を増やされたり、顔へラクガキされたりするため、わざとミニゲームに負けて香鳳の反応を楽しむというプレイが一部で流行し、SNSなどにスクリーンショットが上げられていた。
なお、最終的に装備はすべて取り戻され、イタズラ狸たちはキツーイお仕置きを受けることとなった。

●颯爽、白翼姫!
月明かりの下、山道を進むプレイヤーたちに向かって、「父の仇、覚悟!!」と突然襲い掛かってくる天馬にまたがった女騎士。〈エルダー・テイル〉における鈴香鳳の初登場シーンがこの場面である。父の仇というのは、彼女が黒幕によって信じ込まされた偽の情報によるものなのだが、戦いの後、悪党(と思い込んでいるプレイヤー)に向かって
「くっ、これ以上の生き恥をさらせるものか。いっそ殺すがいい!!」
と叫ぶ姿が、その後の彼女のキャラクター性を運命付けていたといっても過言ではないだろう。
また、彼女が登場するときのカットイン演出「プレイヤーたちを見下ろす崖の上、月明かりに照らされた鈴香鳳」の姿は凛として美しく、今なおファンの間で人気の高いシーンでもある。

なお、投票結果発表の後、投票の上位を占めたシーンを録画編集した『鈴香鳳 栄光の足跡』というタイトルの動画が投稿されたが、これも公開から数日で視聴回数が十万を超え、視聴コメントにもファンたちの愛に満ちたコメントが多数寄せられるなど、彼女の人気のほどが伺えることとなった。

関連項目