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†…聖夜…†の秘密特訓 《ほーりーないとのかくされしきんだんのぎしき》
「ヤッ! ハッ! トゥーッ!」
冬の夕刻。アキバのはずれに建つ廃屋群のビルの一室に、気合の叫びが響く。  
「ヤッ! ハッ! トゥーッ!」
叫びとともにさまざまなポーズを連続で、そして繰り返しキメているのは、暗い色調のすその長いコートを身につけ両手に長剣を握った少年だ。片目を隠すように伸ばした前髪が印象的な彼は名を†…聖夜…†(ホーリーナイト)という。ギルド〈三日月同盟〉に所属する〈暗殺者〉である。
「ふう、ふう……やっぱり〈断罪の双翼〉のあとにこのポーズで〆るのは姿勢に無理があるな。足の位置、要検討、と」
額に汗を浮かべ、前髪を払いながらぶつぶつとメモを取る†…聖夜…†。彼は週に数日、ギルドを抜け出しては、こうやって廃ビルの部屋で彼が習得している〈暗殺者〉の特技を「よりカッコいいモーションで繰り出すため」の練習を繰り返しているのだ。

今練習していたのは〈アクセルファング〉あらため〈断罪の双翼(ジャッジメント・ヘル)〉だ。敵の横を駆け抜けざまに斬りつけすぐに離脱する、白兵型〈暗殺者〉の基幹特技の一つ。†…聖夜…†が双剣をクロスさせながら斬りつけることで、開かれた断罪の翼が敵を裁く必殺の一撃である!(しかし横を駆け抜ける都合上剣はどちらか片方しか当たらない)
構想段階では切り抜けた後は翼のごとく剣を掲げた状態でキメる予定だったが、実際には動きを止めると一撃離脱技の意味がなくなってしまうため、キメのモーションは持ち帰って検討することになった。

……何故彼は一人で黙々とこんな練習をしているのか?
それは彼が「〈エルダー・テイル〉の〈暗殺者〉の「技」は動きがダサい……」とゲームの時代から常々思っていたからだ(もちろんこれは彼の主観に基づく意見であることはいうまでも無い)。
中堅レベルの〈冒険者〉である†…聖夜…†が使用できる特技はその多くが〈エルダー・テイル〉初期から存在するような基本的なものだ。これらの技は、無駄をそぎ落とした動き(モーション)といえば聞こえはいいが、華麗さや派手さは微塵も感じられないものばかりで、中には技術的な制限から汎用モーションに違うエフェクトをつけて別の技扱いにしているような技すらある。もちろん高レベル環境の導入に伴って後の拡張パックで追加された「カッコいい」技も存在するが、習得のためのレベルやクエスト、資金などのハードルは高い。それはゲームがリアルとなった現在でも同様である。

だが、†…聖夜…†は〈セルデシア〉での活動が長くなるにつれて、既存の「ダサい」技を使い続けることに我慢できなくなった。そして、「もっとスタイリッシュな動き(そして名前)で技を出す!」と思い立ち、こうしてビルの一室でポーズ練習を繰り返しているのだ。ちなみに仲間たちに内緒で一人でやっているのは「そういうそぶりを見せないのがカッコいい」気がするからである。

〈断罪の双翼〉がポーズ検討案件となったため、†…聖夜…†の練習は予定を繰り上げて〈デッドリーダンス〉あらため〈終焉の緋花(デッド・エンド・ブロッサム)〉へと移った。
この技は絶え間無い斬撃の嵐を繰り出す中で、いかに見栄えよい角度で剣を振り、フォロースルーの硬直でポーズをキメるかが難しい。ポーズに集中しすぎると入力受付時間を超過して連続攻撃が成立しなくなってしまうため、一瞬ごとに静と動を切り替え無ければならないのだ。
「此処がお前の終着点(デッド・エンド)だ……!!」
最後の一撃と同時にキメ台詞。このとき右手は相手を指差す(指の角度も重要)。
「ふ、ふふふ……決まった……!! よし、もう1セットやろう」
成功に思わず頬を緩めながら、†…聖夜…†は再び〈終焉の緋花(デッド・エンド・ブロッサム)〉発動前のキメポーズの体勢をとった。

その日は興が乗ったため、彼の密かな特訓は日没後も続いた。新たなフィニッシュポーズを閃き、派生技〈終焉の緋花・極(デッド・エンド・ブロッサム・エクストリーム)〉が誕生したのは大きな収穫だったが、その代償は大きく、マリエールとヘンリエッタからは門限破りの説教を受けることとなったという。

関連項目