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イツナリ姫のスイーツ日記 《イツナリひめのスイーツにっき》
5月20日月曜日 天気:雨天
 外は雨じゃが桜迷宮は雲一つない晴れ空。「台風の目みたいだ」とは雨宿りに来た〈冒険者〉たちの弁。〈花を見る丘〉にて彼らと十六夜を肴に桜を愛でる。「月見に一杯」「花見に一杯」。彼らの故郷にある「花札」なる遊びに準えて団子を饗することにした。
 月に夜桜、酒に団子、賑やかな齢短き者達に囲まれた夢のような光景に、わしとしたことが少々惚けていたようじゃな。気づけば〈冒険者〉たちは「餡団子派」と「みたらし団子派」に分かれて口論に明け暮れて居った。やれやれ、年長者として場を締めてやらねばな。
 「三色団子を見てみよ、色も味も異なる三つの団子が一つの串に仲良く収まっておる。〈大地人〉も〈冒険者〉も〈古来種〉もそうじゃ。別に何が一番であろうと構わぬではないか」わしの言葉に感動した両派閥の者たちは肩を組み、仲良く団子を頬張るのじゃった。

5月21日火曜日 天気:晴天
 今日は見事な皐月晴れ。あまりに天気が良いので朝から眷属たちと〈散策の小道〉に出向いて、まだ若い桜花を摘み取って廻る。咲いてから日数を経た花ではあまり良くない。菓子の材料にするからと〈古都ヨシノ〉の菓子職人から頼まれて居たのじゃ。
 以前の〈典災〉事件でコツを掴んだ「ちびイツナリ」の姿になり〈古都ヨシノ〉ヘ桜花を届けに行く。途中で犬に散々追い回された。涙目のわしに菓子職人の〈冒険者〉が言うにはこの花は塩漬けにするのだと。なぬ、それでは話が違うではないか!?
 説明によれば味覚と言うのは、先に塩っぱさが次いでゆっくりと甘さがやってくる、そのため塩味を加えることで甘味が引き立つとか。「辛いことの後で良い事があったら、もっと嬉しいだろ?」そう笑って職人がくれた桜餅は、涙のせいかいつもより甘かったのじゃ。

5月22日水曜日 天気:雷雨
 一年中桜が咲き乱れるこの桜迷宮において季節の訪れを告げるものは珍しい。初夏の雷が空を彩り、遠雷が鳴り響く様子に心がぴょんぴょんと躍るのじゃ。と年甲斐も無くはしゃいでいたら、〈琥珀の塔〉に落雷しおった。えらいことなのじゃ!?
 案の定、塔の最上階にあった魔獣服従装置が誤作動を起こし、従えておった〈鵺〉どもが解き放たれてしまった。彼奴ら、雷鳴轟く雨空に喜んで飛び回っておるわ。このままでは〈古都ヨシノ〉にまで被害が及ぶかもしれぬ。取り押さえねばな。
 幸い、〈冒険者〉殿たちの助力もあって、大きな被害も出さずに〈鵺〉はすべて取り押さえられた。しかし鵺の雷撃で、後で食べようと隠し持っていたわしの柏餅が黒焦げに。しょげるわしを見かねて〈冒険者〉殿が肉まんを分けてくれた。優しさが胸に染みるのじゃ。

5月23日木曜日 天気:晴天
 昨夜の雷雨に空の塵が洗い流され、今日はやたらと日差しが強い。如何にわしが〈吸血鬼〉として超越しているといっても、日光浴が好きと言うほど酔狂ではない。という訳で、最近お気に入りの日傘をさして〈池の畔の遊歩道〉を散策することにしたのじゃ。
 この日傘〈想像上の華〉は、開いた姿が貴婦人の着る夜会服の如く優美な曲線を描く黒い傘で、桜花の刺繍を施した白いレース地のフリルが縁にあしらわれている。細い柄には黒蜥蜴の尾に似た取っ手がついていて、魔女的な可愛らしさを持つわしによく似合う。
 惜しむらくは、これが「ちびイツナリ」用の大きさであることじゃろう。一粒二粒と金平糖を口に入れながら散策していると、突如強い風が吹き日傘ごと宙に舞い上げられてしもうた。そして短い空中散歩の後、昨夜の雨で嵩を増した〈スタグナ川〉に落下したのじゃ。

5月24日金曜日 天気:雨天
 一晩流され続けたわしは〈ミナミの街〉に漂着した。そこは多くの〈冒険者〉が住む都市で、活気のある街路には人が溢れ、人々は小さな板切れを見せるだけで買い物をしておった。わしも適当な板切れを見つけて同じように買い物を試してみたが、上手くはいかなんだ。
 防水加工されていた日傘はまだしも。如何に〈真祖〉とは言えども、一晩川を流されてはずぶ濡れにならざるを得ぬ。篠突く雨の中を歩くわしの全身は濡れ鼠のようで、廃棄児と勘違いされ危うく治安組織に捕縛される処であったわ。
 しかし何処にも違いの判る者が居るのじゃな。わしの本性を見抜き、助けあげてくれたのは紅い髪の童女じゃった。彼女の別邸に招かれて風呂を借り、着物も乾かし、たこ焼きという人気料理まで馳走になった。桜迷宮まで送ってくれたガーたん。良き友を得た旅じゃった。

5月25日土曜日 天気:曇天
 一晩降り続いた雨が上がっても、見上げる空には未だ濃い灰色の雲が重く立ち込めており、まるで空が降りてきておるようで息が詰まる。わしの心もどんよりと曇っておるわ。
 眷属の〈吸血鬼〉たちも素っ気なく「はいはい姫様、今は忙しいから後でね」と邪険に扱われてしまう。何をそんなに忙しなくしておるのやら。
 今日に限って〈冒険者〉たちも遊びに来ないし、つまらないのじゃ。ヨシノへ行くのも止められてしもうた。昨日の今日では仕方ないと自重するが。ミナミの土産に貰ったバケツプリン、皆と食べようと思ってたのにのぅ。仕方ないから不貞寝することにする。

5月26日日曜日 天気:快晴
 今日は朝から二度寝もとい惰眠を貪るつもりであったものを、眷属どもに叩き起こされてしもうた。最近、真祖たるわしに対して敬意が足りなくはないか彼奴らは、と思いながらも用意されていた晴着に着替える。はて、今日はなにかの記念日であったじゃろうか?
 なにやら用があるとかで〈古都ヨシノ〉まで出向く事になった。こうも気軽に呼び出されるとはわしも軽くなったものじゃ。まぁ、風に飛ばされ、川を流されるくらいじゃしの。
 着いたヨシノは祭で賑わっておった。わしの記憶ではこの時期に祭は無かったと思うたが、〈大地人〉に聞いてみると、この祭は今年から毎年やることになったのだそうな。相談も無しとは水臭いが祭が増えることに否やは無し。
 しばし祭を見物しようかと歩き始めた矢先、やってきた顔役に捕まって壇上に上げられてしもうた。これは挨拶でもせよと言うことか、早めに相談でもしてくれば良いものを、と内心で腐っておった所に、集まった民草が一斉に声を賭けたのじゃ。
「イツナリ姫、誕生日おめでとう!」
 始まる大合唱(位階が上がった時の祝い曲に似ていた)。運ばれてくる巨大なケーキにはこれでもかという数の蝋燭が灯っておる。惚けていたわしに菓子職人が「サプライズパーティ如何でした?」と問うてくる。どうやらわしを驚かせたかったようじゃ。うむ、驚いた。
 聞けば、わしの誕生日を知らせたのは先日やってきたロエ2らしい。あの姉気取りの眷属が黒幕と知れば納得もいくものよ。手紙を渡されたので、後でじっくりと読むことにしよう。今は祭を楽しまねばな。

関連項目