〈都市間移動門〉の再開後、頻繁にアキバに訪れるようになった〈シルバーソード〉の一行。新生〈円卓会議〉への助力や大規模戦闘補給物資の調達、新規装備や道具の発注や購入などが主な目的だが、それとは別にススキノにはない娯楽を楽しみにも来ている。
　ススキノにも娯楽がないわけではないが、〈冒険者〉の最大数はアキバの方がはるかに多く、また〈エルダー・テイル〉時代には存在していなかったものも数多い。仕事と休暇を兼ねてアキバ巡りをするのがここ最近の〈シルバーソード〉の流行りなのだ。
　ある者は旧友との親交を深め、またある者は食道楽や音楽活動に勤しむ。各メンバーそれぞれ楽しみ方はさまざまだが、人が多い街で新たに活動することで新しい人間関係が生まれ育まれつつある。（これは〈シルバーソード〉に限らず、アキバ・ススキノ間で人の行き来が増えたことで活発な交流が生まれている）
　とある広場で狼お面のお姉さんとドミノマスクのふとっちょ猫さんがセッションしていたり、市場で〈猫人族〉の一団が料理談義に盛り上がる一方、酒場で酔いどれるエルフのメイドと和装の狐尾族の姿や、各々が召喚したもふもふに皆で包まれてほっこりしている集団の姿も目撃されている。
　ギルド会館の一室では、縮尺模型や地図を用いて戦術討論したり遊戯盤で対決していたりする者たちの間で遊戯盤ガチンコ対決会が勃発。勝つのは〈金色の軍師〉かはたまた〈氷壁の野戦指揮官〉か？　との下馬評だったが、ふたを開けてみれば〈腹ぐろ眼鏡〉の弟子と呼ばれる〈神祇官〉少女の勝利に終わった。
　このあとしばしの間、金髪の男女２人に再戦を挑まれて困り顔の少女の姿が見られたらしい。