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ミズファ・トゥルーデに関する報告書(2) 《ミズファ・トゥールデにかんするほうこくしょ に》
 〈東伐将軍〉ミズファ・トゥルーデ(本名ミスハ・ロング)の経歴について追加調査を行った結果を記す。この文章は読後破棄を勧告する。


 ミスハは廃棄児として〈キョウの都〉で育ったことが関係者への聞き込みから確度の高い情報として浮かび上がった。正確な出自及び年齢は不明。
 当時のキョウは、政治の中枢が〈イコマの街〉に移っていたため外縁部は荒れ果てていた。物心付いた頃の彼女は、そんな外縁部のスラムに暮らしていたとのこと。
 〈西の奉仕者〉が〈供贄一族〉と袂を分かった事による支援の停止、〈スザクモンの鬼祭り〉の度に都に溢れる魔物たち、奴隷狩りの横行など、スラムの生活は困難を極めたようだが、その中でミスハは生き抜いて成長した。

 十代前半、少女に育ったミスハは機転と愛嬌を武器にスラムで足場を築いていた。
 知恵を巡らせて仲間と共に危機を乗り越えることで信頼を勝ち得、粗野ながらも少女らしい外見は、媚などを売るまでもなく男たちから高待遇を得る要素となった。
 だがそれは、この時期のミスハに目をつけた奴隷狩りにとっても同じで、彼女は磨けば光る宝の原石と言えた。
 スラムを襲撃した奴隷狩りによって高値で奴隷商人に売り飛ばされたミスハは、小賢しさと勝ち気さから虐待を受ける。
 ある日、奴隷商人の油断を突いて命からがら脱走を図ったミスハは、夜間の市中巡回を指揮していた〈弾正尹〉グラウス・ロング子爵に遭遇し保護された。
 奴隷商人の多くは当局に賂を渡して取締を免れ、治安に携わる側にも賂を副収入としてあてにしている者が多かったのだが、グラウスはそのような手段の通じない世事に疎く高潔な人柄であった。
 ミスハの告発により奴隷商人は摘発され、少女の利発さと勇敢さに感心したグラウスは彼女を養女として引き取ることを決意する。
 子爵令嬢ミスハ・ロングとなった彼女は、義兄である騎士スターリング・ロングの従者として読み書き計算、乗馬に軍略、地図の見方など、様々な教育を受ける。これは彼女のその後の人生において大きな財産になった。
 だが、義兄スターリングは人間の善性を信じる優しき正義漢であり、スラム育ちのミスハとはことごとく衝突することになる。
 
 十代後半、養父グラウスがミスハの嫁入りについて考え始めていた頃、当のミスハはスターリング暗殺によるロング子爵家の簒奪を画策していた。
 しかし、その企画を実行に移す前に、ロング子爵家に災いが降り掛かった。
 グラウスも老齢に差し掛かり、〈弾正台〉(市中の警備を受け持つ役所)に入ったスターリングは闇商人を摘発するなど功績を重ねる一方で、犯罪者や彼らと癒着する同業者から恨みを買っていた。
 父の政敵であり上部組織でもある〈検非違使〉からの捜査停止命令を無視した強行捜査などを繰り返した末、〈鬼祭〉に於ける警備の責任を着せられて投獄。スターリングは流刑となる。グラウスは心労から寝たきりの身の上となり、家令を始めとした郎党たちが家財を持って逃げる中、ミスハもまた家伝の剣と金品を奪って姿をくらませたため、ロング子爵家は事実上断絶することになる。

 ミスハは奪った金品を元手にそれまでの経歴をロンダリングしたらしく、偽名を入手した経緯など依然不明な点は多い。